現状と論点
- タナベのタクシーシステム(売上整理)はクラウド移行(年+約30万)。これは避けられず、移行自体は問題なし。
- タナベから外部化されるのは給与(給与計算)。PCA給与(年16万〜)等へ出す。PCAはタナベ連携の用意がある分は有利(ただし完全自動ではなく自前作業は残る。他案はタナベ側APIが非公開=連携を自前で用意・特に書き込みが難所)。
- 社会保険・労務の手続きは元々システム化されておらず、総務(牧田さん)1人に属人化した紙の手作業。月2〜3人(年30〜36名)が入社するサイクルで負担が大きい。これも一緒に電子化したい。
- 現状の手続きはドライバー → 管理職 → 総務 の2段階を経由し、管理職の中間工数が非効率。電子化すれば総務へ直結できる。
- 最大の制約=ドライバーは全員がメールアドレスを持っていない。← ツール選定の決定打。
この投資の性格(=何のためか)
コスト削減にはならない。人を増やしていない(総務の牧田さん1人で回っている)ため、削減できる人件費は無く、費用は純増になる。
本当の狙いは ①属人化リスクの保険——手続きが牧田さん1人に集中=抜けたら止まる、を解消し「その人しかできない」を「誰でもできる」に変える。加えて基盤先行で進めるなら ②将来の人事基盤づくり。
完全無人化はできない。誰か1人の運用・確認は残る。目標は人を消すことではなく、余人をもって代えられる状態にすること。
※「グループ3社共通で導入」案は、トラベル14名+荘建7名=21名と小さく、費用対効果の決め手にはならない(コストも手続き量も実質ほぼ安全永楽)。判断は安全永楽単体で考えるのが妥当。
労務・明細の電子化:4つの選択肢
※給与計算はタナベ推奨のPCA給与(約16万/年・タナベ連携を保証)を土台にする前提。下の①〜④は、その上で労務・明細をどう電子化するかの選択(③はPCAで給与ごと一体化する案)。安く済むほど対応範囲は狭く(①は明細のみ)、入退社・社保・年調まで“全部”を叶えるほど相応のコストがかかる=安価に全部は両立しない。なお③PCAは従業員ポータルがメアド必須のため、ドライバー全員にメアドを用意しない限り選びにくい。
プラン①
Web給金帳 Cloud
約11万 円/年・初期0円
給与明細の電子配布に特化。設定用紙のID+仮パスワードを紙で配るのでメアド不要。
- メアド不要(◎)
- スマホ/PCで明細閲覧
- PCA給与と連携可
- 入退社/社保/年調は対象外
向き:紙明細の手間だけ最安で消したい。入退社・社保は当面 牧田さん+PCA給与で回す。
プラン②
オフィスステーション
約10万〜 円/年+初期11万
明細から始め、必要になったら労務・年末調整・社保をアラカルトで追加できる。
- メアド任意(ID運用可)
- 明細→労務/年調/社保へ拡張
- 段階導入できる
- 機能ごとに費用加算
向き:小さく始めて、様子を見ながら自動化を広げたい。
プラン③
PCA(給与+Hub労務)
約120万 円/年・給与本体込
タナベ推奨の給与システムと一体。明細・入退社・社保・年末調整までPCAで固める。
- 給与計算が本体で確実
- タナベとの連携を保証
- 価格が公開で読みやすい
- メアド必須/専用アプリ無し
向き:タナベ連携を重視し給与ごとPCAで固めたい。ただし従業員ポータルがメアド必須=ドライバー全員にメアドが要るため、今の前提では選びにくい。
プラン④
SmartHR(フル)
約300万 円/年・本体は要見積
入退社・社保・年末調整・明細を専用スマホアプリで完結。人事評価機能も付く。
- メアド不要(社員番号)
- スマホアプリ+プッシュ通知
- 入社/社保/年調まで自動化
- 固定費が大きい
向き:人を増やす代わりにシステムで効率化(=2人目採用の代替)と割り切れる時。
判断の軸(トレードオフ)
① メアドの壁(ドライバー全員は持っていない)
- ◎ 不要 Web給金帳(紙のID配布)/SmartHR(社員番号)
- × 必須 PCA(メール必須・SMS不可)=全員メアド整備が前提
② タナベ連携と歩合計算
- PCAはタナベ連携の窓口がある分は有利。ただし連携は完全自動では準備できず、いずれも自前作業が残る(特にタナベへの書き込みは難所)。
- 共通 複雑な歩合給計算はどのシステムも非対応 → Excel または自作アプリで外部計算し、CSVで取り込むのが前提(PCA・SmartHR含め全案共通)。
③ コストと「採用の継続」
- ①11万 と ④SmartHR 300万で約27倍の開き。
- ★決裁ポイント:SmartHRは“採用が続く”前提でこそ元が取れる。採用が止まれば、結局は給与明細配布に約300万を払う構図になる。
- 歩合給計算はどのツールも標準外 → 内製ウェブアプリ+CSVで対応可能(こちらで作れます)。
④ 固定費の体力(事業構成)
- 同業・東邦さんは事業軸が複数(タクシー+ハイヤー+観光)=リスク分散が効き、固定費を抱える耐性が高い。
- 安全永楽はタクシーに事業集中=同じ固定費でも下振れ時の重さが大きい。「いくら固定費を背負うか」は他社をなぞれない=自社の体力で判断。
同業の実証(参考)
近隣の同業・東邦さんが、全く同じタナベ基盤でSmartHRを導入済み。評価は「すべては叶わないが、便利にはなっている」——同規模同業の正直な合格ライン。ベンダー説明より信頼できる実証データ。
トレースできる所/できない所を分ける:労務層(入退社・社保・年調・明細・メアド無し運用)は事業軸に依存せずそのまま真似できる。一方、給与・歩合計算は事業軸(東邦さんはハイヤー・観光あり)で異なるため自社で用意。固定費をどこまで背負うかも会社の体力次第(上の軸④)。
※基盤が同じだからこそ、東邦さんで「叶わなかった所」は安全でもそのまま起きる=“叶わなかった所”を具体的に聞き、安全で許容できるかを確認するのが最重要。
判断の整理 ── 2つの戦略
A|段階型(固定費を抑える) ①Web給金帳/②オフィスステーションで、痛点から最小コストで解く。将来リスクを避けたい・採用や業績の見通しがまだ不確かな時に向く。後からいつでも上位に足せる。
B|基盤先行型(将来に向けて整える) SmartHR(④)で人事労務をスマホ完結+情報を一元化。評価・タレントマネジメントまで将来活用でき、「基盤を整えたい」意向に合う。ただし採用が続く前提&固定費(約300万)を引き受ける判断が要る。②から始めて育てる中間策も有効。
どちらが正解という話ではなく、「今後の採用・成長をどれだけ見込むか × 固定費リスクをどこまで取るか」で決まる。今の業績は払える水準なので、最後は将来の採用見通しとリスク許容度の経営判断。
いずれの場合も共通:複雑な歩合給計算はどのシステムも非対応 → Excel/自作アプリで外部計算しCSV取込。タナベ連携は完全自動にはならず自前作業が残る(特に書き込み。連携を重視するなら③PCAが手堅い)。メアドはID方式で回避。契約前に「やめる時のエクスポート可否」を必ず確認。
次に確認すること
タナベクラウド移行の正式見積・仕様書・運行データのCSV項目。給与計算に必要なのは「タナベからの読み出し」か「書き込み」か(自前連携の難易度=PCA以外を選ぶ際の鍵)
電子明細各社150名の正確な年額・課金単位(契約人数か配信実数か)・メアド無し従業員のパスワード再発行・通知手段
SmartHR本体プランの正式見積・給与オプション単価(72万は未確認)・運行/勤怠システムからのCSV取込可否
東邦さん同じタナベ基盤の同業として「叶わなかった所・つまずいた所」と「同一構成での費用感」をヒアリング(価格交渉の根拠にも)
共通タクシー歩合給のロジックをどこで持つか(内製ウェブアプリ案を含めて)