今回の気づき:歩いて回る観光地に行けなくても、座ってできる体験をうまく置けば、旅の満足度はある程度担保できる。脚や体力に不安のあるお客様の行程づくりに応用できそうです。観光地を減らすべきだ、という話ではありません。
お願い:最後の「皆さんに聞きたいこと」2つに、朝会のあと1週間くらいのあいだに意見をください。口頭でも、どんな形でも構いません。
9月14日から18日までの5日間、エバー航空さんのお声がけで、台北・バンコク・パタヤのFAM視察(航空会社などが旅行会社を招いて行う視察)に参加しました。台湾・タイ両国の観光当局と現地の手配会社も関わって組まれた行程です。
今回は膝の手術から3週間、松葉杖と装具での参加でした。旅行会社として見たことに加えて、脚に不安のある旅行者として体験したことも、使えるものに絞って持ち帰っています。
まず行程を置き、本編は気づきと相談に絞りました。ホテル・食事・観光地の細かい評価は、後ろの資料編にあります。
| 日 | 都市 | 主な内容 | 泊 |
|---|---|---|---|
| 9/14(月) | 新千歳→桃園→台北 | BR165/夕食(台北・大衆中華) | 台北 |
| 9/15(火) | 台北→桃園→バンコク | 宿泊ホテル(エンペラー)見学/龍山寺※見送り/迪化街/シーザーパーク見学/昼食(小籠包)/中正紀念堂※見送り/エビ釣り体験/BR205 | バンコク |
| 9/16(水) | バンコク→パタヤ | 宿泊ホテル(アヴァニ・ラチャダ)見学/王宮※見送り/ワット・ポー/アイコンサイアム/チャイナタウン※見送り/パタヤへ(約2時間半) | パタヤ |
| 9/17(木) | パタヤ→バンコク | 宿泊ホテル(アヴァニ・パタヤ)見学/コミュニティビレッジで料理体験/サンクチュアリー・オブ・トゥルース※見送り/ビーチ/ローカルスーパー/夕食(イサーン料理) | 機中 |
| 9/18(金) | バンコク→桃園→新千歳 | BR206(1:35発)/BR116/15:00 新千歳着 | — |
参加は道内の旅行会社4社から5名(弊社を含む。農協観光は北見と帯広から1名ずつ)。ほかにエバー航空の方、タイ国政府観光庁 東京事務所の藤村さんが同行。ホテルの見学は4軒。行程表(案)にあったバンコクのハイアットリージェンシーの見学は、実際には行われていない。
脚の都合で、私は上の行程のうち龍山寺、中正紀念堂、王宮、チャイナタウンの街歩き、サンクチュアリー・オブ・トゥルースを見送りました。歩いて見て回る項目は、ほぼ全部です。
それでも、旅の満足度は高いまま終わりました。大きかったのは台北のエビ釣りとパタヤの料理体験で、どちらも座ってできて、人と関わる体験です。
もちろん、歩けていれば観光地でもっと多くの気づきがあったはずで、観光地が要らないという話ではありません。持ち帰りたいのは、歩き回る観光が難しいお客様でも、座ってできる体験をうまく置けば、旅の満足度はある程度担保できるということです。脚や体力に不安のある方の行程づくりに、そのまま使えます。
あわせて、当事者になってみて、個別対応の線引きの必要も感じました。浴室に腰掛けがあるか、氷がもらえるか。こうした小さなことが旅の成立を左右する一方で、訪問先すべてに事前確認を入れるような対応は、手間がかなりかかります。手間の軽いものは標準の気配りとしてやる。手間の大きいものは、お客様の了承を取って追加費用をいただいてやる。この線引きを、5章の確認事項づくりとセットで決めたいと思っています。
最初の送迎でとても良い車を用意していただいたのですが、それが自分の中の基準になり、あとから来る車や宿を無意識に比べていました。宿の体感を点にすると、台北のエンペラーが40〜50点、バンコクのアヴァニ・ラチャダが85点、パタヤのアヴァニが70点。3軒目は悪い宿ではないのに「まあこんなものか」と感じています。順番のせいです。
視察は幅を見せるのが目的なのでこの並びで正しいのですが、商品で真似してはいけない。同じ3軒でも50→70→85の順に泊まれば、終わったときの印象はかなり変わるはずです。実際、食事はその形になっていました。いちばん美味しかったのが最終日のイサーン料理だったので、旅の記憶が上向きで終わっています。予算を動かさなくても、順番だけで満足度は変えられます。団体の行程を組むときに、すぐ使える考え方です。
エビ釣りと料理体験は、良かった理由がそれぞれ違いました。ここから、体験を選ぶときの条件が2つ出せます。
体験のあとに寄ったスーパーでは、同行の方と話しながら調味料のセットを買いました。買うきっかけは売り場ではなく会話です。体験と買い物のあいだに、参加者どうしが話す時間を置くと、旅が点で終わらない形になりやすそうです。
高いから喜ばれる、量が多いから喜ばれる、という単純な話ではありませんでした。バンコク中華街の土鍋のフカヒレスープ(1人1ポット)は見栄えも特別感も十分でしたが、私がいちばん心に残ったのは、パタヤのビーチサイドで食べたイサーン料理です。土地らしさ、店の雰囲気、そしてお客様それぞれの好み。いろいろな要素が絡むからこそ、国内と同じで、海外でも口コミなどの事前リサーチが大事だと再確認しました。
台北の金品茶楼(中山の小籠包のお店)は、美味しさに加えて店内の清潔さ・接客・立地がそろっていて、団体でも安心して案内できる店でした。ランド(現地の手配会社)から提案が来たらそのまま受けず、自分でも調べる。私自身は「個人旅行でもその店に行きたいと思えるか」を店選びの基準にしていくつもりです。
今回見た4軒に、立地・設備・価格の3つが全部そろった宿はありませんでした。商品ごとに、どれを優先しどれを諦めるかを先に決めておくと選びやすくなります。
同じ「駅前」でも意味が違うことも分かりました。エンペラーは街に出るための立地、台北駅向かいのシーザーパークは移動するための立地です。行程が宿から歩いて始まるのか、乗り物で始まるのかを先に決めると、合う宿が見えてきます。
もうひとつ、ホテルの基本情報だけでなく「泊まってどう過ごせるか」まで伝えるのが、うちの案内の価値になります。アヴァニ・ラチャダは12階のジム・プール・サウナが宿泊料金込みで、事前に知っていれば水着やジムウェアを持って来られます。パタヤは街が全体に古くなってきているぶん、宿でゆっくりする時間に自由度を持たせる組み方が合いそうです。バンコクから雨と渋滞込みで2時間半かかったので、日帰りではなく行程後半に泊まりで置く形になります。4軒それぞれの評価は資料編Aにまとめました。
窓口は札幌支店の山中沙弥香さん(営業 課長補佐)です。
機内は想像以上に楽でした。足元に余裕があり、術後3週間でもつらい区間はありませんでした。お客様の状態によっては、上の座席クラスの提案や事前の手配での配慮が要ると感じています。いちばん良かったのは、車椅子が乗り継ぎをまたいで途切れなかったこと。復路はスワンナプームでお願いしたところ桃園でも手配されていて、2区間とも使えました。これはエバー便の強みとしてお客様に説明できます。
手配やご案内で知っておきたいこと(エバーのサイトの記載は2026年9月時点):
手配元は台湾観光庁(交通部観光署。2023年に旧・台湾観光局から改組)、ガイドは何(ホー)さんでした。台湾側はホテルも含めて名刺をいただけた方がおらず、直接の窓口も「次はこの方に」という指名の候補も、まだありません。エンペラーは、リニューアル済みのフロアを指定して取れるなら商品に組みやすくなります。
タイ国政府観光庁(TAT)東京事務所の藤村喜章さん(マーケティングマネージャー)が同行されていて、パタヤを行程に入れたのも藤村さんだと伺いました。現地の手配はNEW TOYO TRAVEL(新東洋旅行社・バンコク)の渡辺さん(General Manager)で、ガイドのシムさんも渡辺さんの手配です。シムさんとドライバーさんは本当に素晴らしく、次からは指名でお願いしたい方々です。渡辺さんにはバンコクで直接ご挨拶できたので、今後はこちらから相談できます。アヴァニは2軒ともセールス担当の方の名刺をいただいており、タイ方面の宿を相談するときにそのまま当たれます。
函館の北海道ABトリップ(網走バス 旅行事業部)、札幌の日本旅行北海道、北見と帯広の農協観光(Nツアー)の3社4名の方とご一緒しました。LINEグループができて写真の共有も始まっています。地域も系列もばらばらなので、情報交換の相手としてありがたいつながりです。
まず、大石さんと一緒に早速試します。来月エバー便で台湾へ行く団体に脚の悪い方がいらっしゃるので、車椅子の手配に加えて「無理しないで楽しめる」旅程づくりまで、二人で踏み込みます。年齢層が上がると、行ったことのある場所も多く、テキパキ回るより無理しないで楽しめることのほうが大事になる。今回身をもって感じたことです。
そのうえで、私がやることは3つです。
最後に、皆さんの意見を聞きたいことが2つあります。
朝会のあと1週間くらいのあいだに、思いついたことがあれば私まで。口頭でも、どんな形でも構いません。
| ホテル | 良かった点 | 気になった点 | 体感 |
|---|---|---|---|
| 台北 エンペラー(國王大飯店) 宿泊 | 立地がとても良い。日本語が通じる。リニューアル済みのフロアは日本のビジネスホテル程度 | 建物・設備が古い。ベッドのスプリングが硬い。多くの部屋がシャワーのみで、浴室に腰掛けも手すりもない。広い部屋が中心で個人客には向きにくい | 40〜50 |
| 台北 シーザーパーク 見学のみ | 台北駅の向かい。地下街とつながっていて雨や冬に強い。高鉄に乗る行程なら非常に良い | 街歩き中心の行程だと動きづらい。エンペラーとは価格帯がかなり違う印象(楽天トラベルなどのネット予約サイトで2〜3倍か) | — |
| バンコク アヴァニ・ラチャダ 宿泊 | 部屋・浴室・ベッドとも快適。浴室に備え付けの腰掛けあり。12階のジム・プール・サウナが宿泊料金込み。スタッフは英語で不自由なし。空港に近い | 中心部から離れている。朝食はクイティアオやスモークチキンは良かったが、和食が少なく年配の日本人団体には心もとない。エグゼクティブフロア(上位グレードの客室フロア)は、上位客室を勧める決め手にはなりにくい | 85 |
| パタヤ アヴァニ・パタヤ 宿泊 | 小規模なリゾートとして十分な質。部屋もプールも良い。スタッフの対応が良い。1室2万円程度なら割安感(今回聞いた参考値・シーズンで変動) | リゾート滞在自体が目的のお客様には部屋の広さやしつらえが少し物足りないかも。パタヤの街(ナイトストリート)は人が少なく古めかしい印象で、街歩きを売りにしにくい | 70 |
点数は私の体感。浴室の腰掛けはアヴァニ・ラチャダで確認、アヴァニ・パタヤの浴室の造りは今回記録していない。バンコクで見られたのはアヴァニ・ラチャダ1軒だけで、同じ街の別の宿と比べたわけではない点は差し引いて読んでください。
| 日 | 内容 | 感想 |
|---|---|---|
| 9/14 夕 | 台北・大衆中華 | まずくはないが、印象に残るものもない |
| 9/15 昼 | 台北・中山の金品茶楼(小籠包) | とても良かった。美味しく、店内がとても清潔。接客・立地も良い。桜エビのチャーハンが特に美味しく、桜エビを買って帰った |
| 9/16 夕 | バンコク・中華街。土鍋のフカヒレスープ(1人1ポット) | 見栄え・特別感は十分 |
| 9/17 夕 | パタヤ・ビーチサイドのカフェでイサーン料理(ガイヤーン、ソムタム、もち米) | 全部美味しかった。今回いちばん |
| 場所 | 実際のところ |
|---|---|
| エビ釣り(台北) | 座ってできる体験。場所は少し遠かった |
| 龍山寺 | 境内が広く段差が多い。車内で待つこともできるが、停車中は冷房が使えないので季節に左右される |
| 中正紀念堂 | エレベーターあり、1階は階段なしで入れる。衛兵交代式は前の広場で行われるので、正面の階段を上らずに見どころを押さえられる。参加者全体がご高齢の団体なら、車両を建物の近くまでつける手もある |
| 王宮・ワット・プラケオ | 歩くのは45分ほどで日陰が少ない。舗装されていて段差は少なく、クロークで車椅子を無料で借りられる |
| ワット・ポー | 境内は舗装。涅槃仏堂は靴を脱ぐが、北側にスロープ付きの入口がある |
| チャイナタウン(バンコク) | 街歩きは見送ったため未確認(夕食の店までは行けている) |
| サンクチュアリー・オブ・トゥルース(パタヤ) | 同行の皆さんはとても感激していた。私は行けず、併設の公園のカフェのような場所で待っていた。入らない人の待ち場所があるかどうかも、確認しておきたい点 |
2026年9月時点。私が現地で確認したもの、または事前に調べてガイドさんに確かめたもの。